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マゾヒズム文学の世界

谷崎潤一郎・沼正三を中心にマゾヒズム文学の世界を紹介します。

カップルに殺される妄想

カップルに殺される妄想をよくする。
美人に単独で殺されたいというのはあまりないのに、カップルになると殺されたいという願望が強烈に強くなる。
映画で、街中で、SNSで、美しいカップルを見るといろいろ妄想するが、無惨に殺される妄想にいきつくことが多い。

殺すといってもいろいろある。

まず動機。
私を殺してこのカップルに何かメリットがあるかと考えても、なかなか思いつかないことが多い。
それで結局「余興」という動機にいきつく。
カップルのひとときの余興のために、なるべく残忍に殺されるという妄想が好きだ。
いや、殺人が、異常なサディストでもない普通の幸福なカップルの余興になるか?
しかもこんな醜い男を殺すのが。
どうだろうか?
学校にはいじめがある。
被害者の精神、肉体、尊厳を破壊するのをためらわないことが多い。
死なせてしまうことは滅多にないけど、仮に死なせても死なせた側がいっさい追求されない、怒られない、不利益がまったくなく、今まで通りに過ごせるという保証があったら、ブレーキがかからず、ためらわずに死なせてしまうことも結構多いんじゃないか。
いじめている側にいじめる必要性はない。
いじめないと何か困るかというと何もないだろう。
あれは余興だ。
いじめは余興。
そしていじめは条件がそろえば殺人になりうる。
つまり殺人は余興になりうると思う。
大人だって同じだろう。
それに、学校ではいじめている人間といじめられている人間では前者の方が確実にモテる。
女は別の男をいじめる強い男が好きなのだ。
野生動物は確実にそうだが、人間でも同じではないか。
であれば、女は自分の愛する男が他の男いじめているのを見るのが好きだろう。
他の男をいじめることのできる強く男らしい男に自分が愛されることに喜びや誇りを感じるだろう。
それから、他者への攻撃は、攻撃している集団内部の結束を強める。
たとえばケンカをしていたカップルも、彼女を狙う痴 漢が現れて彼氏がそれを撃退したら、たちまち仲直りするだろう。
協力して他者を攻撃することは、カップルの絆を深める。
だから、カップルにとって殺人は条件次第で余興になりうる。
第一の条件は、殺したことによって自分たちに不利益が一切ないという保証があること。
第二は殺したことによって罪悪感がいっさい生まれないことだ。
第一条件のクリアは残念ながら今の世界では難しい。
逆に言えば、世の中が変われば、クリアされる可能性がある。
第二の条件は、相手の生命に価値があるという認識がなくなければクリアされる。
美しい人間の場合、醜い人間に対して「同じ人間」という感覚が薄まり、生命の価値も感じにくいだろう。
だから醜い人間は第二条件をクリアするハードルが下がり、美男美女の余興殺人の対象になるには結構有利だと思う。
もし殺す相手が、自分たちに殺されることを望んでいる、ということがわかっていたら、第二条件は相当クリアしやすくなる。
むしろチャリティー、ボランティアの感覚まで加わるかもしれない。
このあたりが世の中まで浸透すれば、第一条件がクリアになる世の中がくるかもしれない。
同意書を提出した者に対する傷害・殺人は一切罪に問わない。
そんな世の中も、考えられなくはないだろう。
1回のデートに5、6人の「処刑」を組み込む。
当日アプリで募集すれば志願者はすぐに殺到する。
志願者からの報酬でデート代は賄えてたっぷりお釣りがくる。
あまりにも日常化しているので罪悪感はまったく感じず、むしろチャリティー感覚。
次第にレジャー施設、スポーツ施設、飲食店も、処刑を娯楽化するカップル向けのサービスを競って充実させる。
もちろんこういった施設の料金は志願者から徴収するので、カップルはほとんど無銭でデートを楽しめることになる。

そんなわけで、私がカップルに余興として殺される妄想をするときは、私が彼らに殺されることを望んでいることを彼らがよくわかっている、という状況にすることが多い。
だからカップル側にためらいや罪悪感が一切ない。
むしろ醜く生まれた者に対する憐れみ、慈しみのチャリティズムを感じる。
だからこちらがカップルに対して抱く感謝・恩義の気持ちも絶大なものになる。

さて、いよいよ私がカップルに殺される妄想をするときの処刑方法を具体的に述べていきたい。

・狩猟型
ここで、カップルは仮にダイアンとアレックスにする。
場所は原野。
2人は別々に乗馬している。
大型の狩猟犬が5、6頭。
私は全裸で、騎馬の前に平伏している。
10分が与えられ、私は林に逃げ込む。
2人はしばらく原野で乗馬を楽しむ。
10分後にダイアンの合図で犬が私の追跡をはじめ、やがて犬に見つかる。
私に許されているのは逃げることだけで、犬に手向かうことは許されていない。
犬は数頭で私の手足を咥えて乱暴に引きずって2人のもとに運ぶ。
私はまた騎馬の前に両手と額をついて平伏する。
ダイアンがアレックスに何かをたずね、アレックスが答える。
「右耳」と言ったようだ。
ダイアンが犬に指示を与え、一番手柄のあった犬が私の右耳を食いちぎる。
また10分が与えられ、私は林に逃げ込む。
この繰り返し。
3度目に2人の前に引きずり出されたときにはアレックスのリクエストで私の左の膝から下の肉が全部犬に食われてしまったので、そのあとは這って逃げることになった。
必死に林に向かって這っていく私の姿がさすがに滑稽だったのか、背中に2人の失笑の声が聞こえた。
カップルにいたぶられている最中に、カップルに失笑されることほどうれしいことはない。
自分にとって生涯最良の時間を与えてくれているカップルも、それなりに楽しいひとときをすごしてもらえてるんだな、というのを実感できる瞬間だ。
次は両目を食われて視力を失い、もう闇雲に這い回るしかなかった。
これもよほど滑稽だったようで、2人の楽しそうな笑い声が聞こえた。
アレックスの提案で5分が追加される。
視力を失ってもなお、最期までその美しさ、高貴さ、慈悲深さを感じさせてくれる2人に感謝しながらなんとか手探りで林に逃げ込んだ。
しかし犬は追ってこない。
余興はおしまい。
2人は本式の狐狩りに出かける時間なのだ。
2人の騎馬と犬たちが遠出をしていく足音を聞きながら私は絶命する。

ここからは、カップルは中学 生の美月と高校生の崇とする。
そして私は2人を慕う小学 生だ。
いわゆる「おねショタ」のカップル版。
相当に好きな設定だ。
場所は縁側。
2人は涼やかな浴衣姿で縁側に腰掛け、沓脱石に足を置いている。
2人の間にはお盆の上にスイカやらかき氷機やらラムネ瓶が並べてあって、たださえ美しい2人の姿を鮮やかに彩っている。
私は同じく浴衣姿だが、裸足で庭に正座し、沓脱石向かって両手と額をついて平伏している。
この設定から、いくつかの大好きな処刑方法が派生する。

・劇薬型
平伏する私にも、ラムネの瓶が渡される。
2人は専用の栓抜きで、私は小石を使って栓を抜く。
私は少しためらうが、二人がなんのためらいもなく瓶を傾けて中身を喉に流し込んだので、私もあわててそれに続いた。
2人の喉には、よく冷えたラムネが爽やかな刺激を残して通っていく。
美月の白い喉がゴクゴクとちいさくかわいく鳴り、カランカランと涼やかなビー玉の音が響く。
そのままコマーシャルになるような清涼なシーン。
本来2人だけで分かちあうべき美しい夏のひとこまに「同席」させてもらい、同時に瓶を傾ける。
これ以上の光栄があるだろうか。
ただし、私の喉に流れてくるのはラムネではなくて濃硫酸。
途方もない苦痛に襲われるが、2人の清涼なひとときを邪魔しては悪いので、笑顔でゴクゴクと喉を鳴らし、酸が内臓を壊死させるのを待ち、沓脱石の方に平伏したまま絶滅する。

・水責型
たらいに冷水をため、沓脱石の上に置いて2人に足を入れてもらい、2人の足をていねいに洗う。2人はしばしスイカやかき氷を楽しむ。
2人がスキンシップをはじめる。
小学 生が見ていいものではないので、見てしまわないように私はたらいの水に顔をつける。
それでも私の窃視癖を知っている2人は私の頭を踏んで水に沈める。
顔面がぴったりたらいの底につき、鼻がひしゃげる。
もちろん息はできない。
2人の足の圧力の強弱がリズミカルに頭蓋骨に伝わり、どんな音楽よりも心がときめく。
2人の神聖なキスの時間を分け与えられる。
これ以上の光栄はありえない。
水に浸かっていようといまいと、呼吸など許されるはずがない。
苦悶と陶酔の天国だった。
3分ほどで足が離れ、崇が私の側頭部を軽く蹴る。
平伏のときに顔をあげていい合図だ。
水から顔あげ、しかし2人の口づけの余韻をなるべく邪魔しないように静かに激しく呼吸した。
カランとビー玉の音がして2人の喉が鳴る。
すぐに美月がキスの続きをねだる。
崇は「うんうん」と言いながら美月の髪を撫でたりしている。
私に呼吸を整える時間を与えているのだ。
なんとやさしい人なのだろう。
私は意を決して再び顔を水に浸ける。
後頭部に静かに2人の足が乗る。
2人の足は私に無上の喜悦を与えるが、2人にとって足の下の感触はどうなのだろうか。
自らを深く慕う者に恵みを与える慈悲心の満足と優越感、他者の苦痛や生死を足でコントロールできる全能感。
しかしそれらも、2人が互いに与える極上の喜びから見たらく微量のスパイス程度にすぎない。
次第に2人は盛り上がり、意識から私の苦悶や生命に対する関心は薄れていき、30分ほどした頃、2人の長い口づけの間に2人の足の下で絶命する。

・ゲーム型
この場合私の衣装は白い装束とする。
その他の設定は上記と同じ。
私はやはり沓脱石の前に平伏しているが、御座を敷いている。
傍にカッター、スプーン、千枚通し、裁ち鋏、キッチン鋏、ペンチ、糸鋸、そして屑籠を用意している。
2人は飲んだり食べたりじゃれあったりしていたが、美月が無邪気な笑みを浮かべながら「じゃあー、左の乳首」と指定する。私は丁寧にお礼を述べたあと即座にキッチン鋏で左の乳首を切り落とす。
止血は許されている。
「右の耳たぶ」と崇。
しっかりと頭と額をつけてお礼を言ってからこれもキッチン鋏で。
止血をしながら切り落とした耳たぶを屑籠に捨てる。
「んー、じゃー下唇」「攻めるねー」
一瞬たりとも逡巡してはいけない。
2人が私のために考えて指定してくれているのだから、逡巡などあまりにも無礼で不敬だ。
しかしやはり出血は激しかった。
本来なら地面に平伏が当然で御座を敷くなど僭越にすぎるのだが、今日は血で庭が汚れるため御座を敷いている。
交互に切断箇所を指定してもらって、私が絶命した時に、直前に切断箇所を指定していた方が負け。
棒倒しと同じ要領だ。
崇が勝ったら次の試合の日に料理の苦手な美月が弁当を作って持って行かなければならない。
美月が勝ったら美月の大好きな体位で美月が3回絶頂するまでしてもらえるのだ。
崇はこの体位を美月のわがままを操縦するご褒美としてうまく使っている。
「今日あれしれあげるから」と言えば美月は必ずいうことをきく。
私は美月に勝たせたい。
それなのに美月は攻めてくる。
左目。
美月の美しさを仰ぎ見るためだけに存在した眼球が、美月の思いつきで体から取り外される。
あまりの光栄に震えながらお礼をいい、スプーンでぬるっと抉り出して屑籠に入れた。
崇の指定は左の小指。
子供の力ではなかなか骨が裁てない。
裁ち鋏で体重をかけて一生懸命に切り落とす。
崇が美月の髪を撫でる音。
これをされるとすぐにキスをねだるのは美月の習性だ。
柔らかく湿った音が微かに聞こえる。
なんとか切り落として小指を屑籠に入れ、すぐさま深く平伏する。
止血したいところだが、口づけの最中に命令行動以外で平伏しないのは絶対にありえない。
そのまま長いこと次の命令はなく、やがて微かに囁き合う声がして2人の気配が奥座敷へと消えた。
私はそのまま絶命する。
美月の勝ちだ。
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地上の楽園 あふりか物語


M共和国D大統領:いやあ元帥閣下、お疲れ様でした。
H共和国革命評議会議長J元帥:やあ、これは、大統領閣下、どうも、お疲れ様でした。
D大統領:今回のアフリカ諸国会議も、なかなか盛り上がりましたな。
J元帥:なんといっても大統領閣下のご発言に世界が注目しておりますからね。
D大統領:そんなことはありますまい。私なんぞではなく、我々アフリカ諸国の団結が、注目されているのです。
J元帥:なにしろ私は今回のような大掛かりな国際会議は初めてでして、だいぶ疲れました。
D大統領:それはそうと、今夜の晩餐会はたのしみですなぁ。
J元帥:本当に。
20210605190252c29.jpegD大統領:B共和国のK大統領の夫人は、大変に美しい白人女性ですからな。
J元帥:はあ、しかし閣下…
D大統領:まあまあ。会議は終わったんですから。今は誰も我々の発言を聞いていませんよ。本音で行きましょうや。ご存知でしょう?K大統領のご夫人。
J元帥:はい。それはもう、大変にお美しい方で…K大統領がお羨ましい限りです。
D大統領:G国のN大統領は黒人でありながらアラブ人の女性と結婚して、西洋風のドレスを着せて自慢げにしていましたが、やはり白人女性とでは格が違う。お気の毒だがN大統領の夫人は今晩それを思い知らされるでしょうな。
J元帥:白人女性とは、なぜああも美しくできているのでしょうか。
D大統領:まったく、まったく。人類の貴族と言うにふさわしい。
J元帥:K大統領は英国在留中に夫人と出会ったそうで。
D大統領:ああ、K氏が通っていたカフェのウェイトレスだったそうですな。
J元帥:たしかロンドンのリバティホールというカフェです。K大統領の夫人は高校生のアルバイトでした。
D大統領:ほうほう。それで仲良くなったと。同じ白人国家でも米国では考えらえないことです。黒人は白人の店主や店員のいる店に入店できないことが多いし、客が白人女性の店員に注文しただけでリンチされた事例もある。人種間結婚もほとんどの州で違法ですな。
J元帥:大それたことです。白人女性に声をかけるなど、私だったらとてもそんな勇気が出ない。
D大統領:はっはっは。先日の革命であれだけ世界を驚かせた勇猛な元帥も、白人女性には兜を脱ぐというわけですな。そういえばK大統領夫妻の結婚式で、世界中に中継されるカメラの前でK大統領が跪いて夫人のドレスの裾に「誓いの接吻」をしたのには驚きましたな。ヨーロッパのメディアでは「ウェイトレスが女王なった日」なんて報じてたとか。
J元帥:本当に感動的なシーンでした。あの結婚式の費用と夫人に送られた宝石はB国の国家予算の6割に上るそうです。
D大統領:お詳しいですな。元帥閣下はK大統領夫人のファンなのですか?
J元帥:はい、結婚式の中継を見て以来、すっかりファンになってしまっていまして、今夜の晩餐会でお目にかかると知って、本当に楽しみですが、会議よりも緊張します。
D大統領:実はですな、私はK大統領と同じようにK大統領夫人のドレスのスカートの裾に接吻したことがあるんです。
J元帥:なんと。
20210605181726889.jpegD大統領:K大統領夫妻がわが国にご来訪なさったときに、晩餐会の前にオフレコの場で夫人に結婚式の「誓いの接吻」に感動したと話したら、夫人が「あなたもやってみますか?」とおっしゃって、スカートの裾を指さしたんです。ためらいもあったんですが、気がついたら誘われるようにして跪いて夫人のスカートの裾に接吻していました。人生で最高の経験でした。あとで気づいたんですが、結婚式の「誓いの接吻」ではK大統領はスカートの裾を捧げ持って接吻していたんですが、私は両手を床について顔も床すれすれに近づけて接吻していました。あれほどの恍惚を感じたのは後にも先にもありません。
J元帥:なんと、うらやましいことです。貴国は去年からB国への莫大な経済支援を始めましたが、そのようなことがあった後なのですね。わが国もK大統領夫妻の来訪を打診しているのですが…その話を聞いて何が何でも実現する決意が固まりました。
D大統領:まあそのためにはそれなりの見返りが必要ですが…貴国は小国ですが、ダイヤモンドの鉱山がありますな。あれを夫人に寄贈してはいかがですか。
J元帥:なるほど、しかし…
D大統領:まあその前に今夜ですよ。私は今夜晩餐会の前にもう一度夫人に誓いの接吻をさせていただくお願いをするつもりです。
J元帥:えっ今夜ですか。
D大統領:ええ。会場となる宮殿には夫人のためのVIPルームが用意されています。そこに参ずるのです。あなたも行かれたらどうですか。
J元帥:…
D大統領:この機を逃したら次がいつになるかわからない。私は行きます。私はもう、夫人のスカートに病みつきなのです。
J元帥:…


J元帥:閣下、大統領閣下。
D大統領:ああ、元帥閣下。いかがでしたか、夫人に拝謁できましたか。
J元帥:ええ、しかし大統領閣下、あなたの方からお聞かせください。
202106051817271de.jpegD大統領:ええ、もう、表現できないほどの恍惚でしたよ。私が夫人に「あのときの光栄が忘れられない、もう一度誓いの接吻をさせてほしい」と懇願したら、夫人はさすがにあきれたようにして、右足を前に出して、靴のつま先を指さされたんです。私はもう、夢中で平伏して靴のつま先に接吻しました。あとで夫人に「この間とどちらのほうがよろしかったですか?」と聞かれたので、「今回のほうが私にふさわしいと感じました」と答えました。すると夫人は軽く嘲るように笑って「夫もそう言っていました」とおっしゃいました。その場には開催国であるE共和国のR総理もいたのですが、総理も私に続きました。閣下、私は決めましたよ。P油田を夫人に寄贈します。
J元帥:えっ、あの世界的大油田を。
D大統領:R総理はN金鉱を寄贈するんじゃないですか。いいのです。だいたいアフリカの資源はアフリカ人のためにあるなどと誰が決めたのですか。P油田はたまたまわが国にあるだけの地球の資源です。その福利を享受するにふさわしい人が享受すべきです。それから、明日の会議では人種差別反対決議とS共和国の白人至上主義体制への批難決議には反対します。
J元帥:それは私も考えていました。
D大統領:して、元帥閣下。
2021060519094754b.jpegJ元帥:はい、私はおそらく大統領閣下やR総理閣下が退出された後に夫人のお部屋に参詣して、拝謁をお許しいただきました。部屋に入ると、T王国のH殿下がすでに夫人の前に跪いていらっしゃたので、慌てて私もそれに倣いました。「面を上げてください」と夫人がおっしゃったので、私もH殿下も顔を上げて夫人を仰ぎ見ました。映像や写真であれほど見た夫人ですが、実際に目前に見上げると、その美しさに、ただただうっとりと見惚れるしかありませんでした。透き通るような白い肌。スラリとした体。花のようなお顔。輝く金髪に吸い込まれそうな青い目。そして、跪いていると上から降りかかるようなえもいわれない高貴な匂い。白人女性はなぜあのようなよい匂いがするのでしょう。私とH殿下の惚けたような顔にも夫人は慣れた様子でしばらく放って置いて、随行員と話たりしていましたが、おもむろに右足を前に出され「お好きなように」とおっしゃいました。私とH殿下は両手を床に突いて、左右から同時に夫人の靴のつま先に接吻しました。ずっと憧れていた瞬間なのですが、想像をはるかに超えた恍惚でした。接吻が終わって夫人が足を引き、また随行員と談笑し始めたのですが、私とH殿下はしばらく感謝の意のつもりでそのまま平伏していましたが、その最中も私は夫人のスカートの裾のあたりから降ってくる甘美な匂いを犬のように貪り嗅いでいました。夫人が動くとスカートが揺れ、匂いが降ってくる。あれは香りの音楽ですね。夫人は退出を促すように足下の私とH殿下の頭頂部をつま先でコン、コン、とノックしてくださいました。そのときの感触!脳にダイレクトに受けた夫人の靴の感触が雷のように全身に走り、喜悦に体が芋虫のようにのたうちました。部屋を退出したあと、H殿下とも話しましたが、「黒人は白人を崇拝する奴隷種族である」というS共和国のL博士の人種論は正しかった。今はそう感じています。認めるしかない。私自身がその証拠ですから。それを私に教えてくれたのがかの夫人です。そしてそれは、K大統領夫妻の結婚式の「誓いの接吻」を中継で見た多くのアフリカ人が内心に感じたことではないですか?私も明日の会議で人種差別反対決議とS共和国への非難決議に反対します。わが国もT王国も小国ですが、H殿下と固く誓いました。夫人の部屋にはK大統領もいなかった。いたのは白人の随行員だけでした。夫人が宿泊しているホテルもE共和国の白人専用ホテルで、K大統領は別のホテルです。夫婦と言っても、白人女性と黒人ですから、関係は推して図るべきです。黒人は白人の足下に、白人は黒人の頭上に。さっきの部屋での姿が、白人と黒人の本来あるべき姿だと思います。B共和国ではそれがK大統領夫妻を通じて非公式に行われている。一方それが正々堂々と国家の基本理念として公式に行われているのがS共和国ですよ。非難なんてとんでもない。私はS共和国の人種論を学んだ国家づくりをするつもりです。もともとわが国の白人は独立時に約束された数々の特権を持っていますが、その特権をもっともっと強化しなければならないと思います。アジア人が白人をアジアから追い出すのであればなおさら、アフリカは白人に忠実でなければならない。白人に安心して「われらのアフリカ」と思ってもらえるアフリカにしなければならない。
D大統領:まったく同感です。わが国、貴国、この地E共和国、T王国の指導者は今夜同じ白人女性の同じ靴の同じ場所に接吻した。これほど強い同盟はない。この4国で夫人が事実上君臨するB共和国との同君連合と言ってもいい。しかし将来的にアフリカ諸国が従うべきはやはり白人至上主義体制のS共和国です。
J元帥:教育制度も大切ですね。黒人に流れる奴隷種族の血を幼い頃から自覚的に呼び覚まして、自分たちの生の意義を理解させる教育を普及しなければなりません。
D大統領:それでは閣下、明日の会議で。
J元帥:ええ。


以上の音声はS共和国の諜報機関によって盗聴・録音され、世界に公開された。
アフリカ諸国の指導者は世界の嘲笑の対象となり、国際的な人種平等運動は支持をを失い、揺り戻すように白人至上主義が合理的で現実的な考え方として各地で復権した。
欧米ではそれまで植民地反対や公民権運動の主力となっていた白人の若者やインテリ層が雪崩をうって白人至上主義運動に転向した。彼らが社会主義体制に代わって「理想社会」「地上の楽園」として賞賛したのがS共和国の白人至上主義体制だ。
S共和国の国際的地位は上昇して先進国首脳会議の一員となり、その後S共和国の意向で日本が除外されサミットは完全に白人国家のみで構成されることになった。
2021060519094682f.jpegM共和国のP油田、E共和国のN金鉱、H共和国のダイヤモンド鉱山を寄贈されたD共和国のK大統領夫人は寄贈資産を基にアフリカ在住の白人住民を支援する基金を設立し世界から賞賛を浴びた。
D大統領とJ元帥は教育改革の案を策定して公表しK大統領夫人にも助言を求めたが、夫人は改革が不徹底であることを指摘してまずは自分たちの再教育からはじめることを勧告した。2名は痛切に自己批判し研修として基金の油田や鉱山で無期限の無償労働を行うことを志願した。多くのアフリカ諸国の指導者層がこれに倣い、K大統領も夫人の助言でこれに倣った。夫人はまもなく若い白人男性と結婚し以前にもまして盛大な結婚式を行い、世界に祝福された。

デザート裁判・学級裁判

沼正三との共通点、私も専攻は法学でした。
「家畜人ヤプー」の法制度から着想


白人家庭は自家が管轄する地域の有色人の刑事裁判を行う権限があります。ディナーの後にデザートを食べながら裁判が10分ほどで行われます。家族の誰かが検察官、裁判官、弁護士になり、少し話あったあと裁判官が判決を下します。検察官と裁判官は同じ人が兼ねてもいいですし、弁護士はいなくてもよいです。忙しいときは一人でさっさと数件の裁判を行なってしまうこともあります。白人家庭が白人学校に自家の管轄の刑事裁判を教材として委託することも多いです。このため白人小中学校では各クラス週に1度学級裁判があります。裁判が宿題となる場合もあります。すべての白人にはすべての有色人に対する起訴権があるのですから、期間内に有色人の大逆を見つけて起訴し、友達と一緒に、あるいは一人で判決を下します。こうして幼い頃から有色人を自由に裁ける白人男女を育てるとともに、白人とはたとえ幼くとも自分たちを裁きその運命を決定する自由裁量を持つ存在であることを有色人に理解させるのです。ディナー裁判でも学級裁判でも一人で行う裁判でも、被告人は監獄にいたままの欠席裁判で行うことができます。判決後は収監も処刑もタブレットのタッチ一つでできます。もちろん被告人を出廷させることもできます。被告人は出廷した場合(白人の前なので当然なのですが)始終土下座の姿勢で、裁判官が被告人の頭部を、検察官が被告人の右手を、弁護士がいる場合は弁護士が被告人の左手を踏みつけた状態で裁判が行われます。どのような判決が下っても、有色人の生涯で白人が自分のために10分もの時間を割くということはほとんど考えられないので、多くの被告人は検察官、裁判官、弁護士となった白人に大恩を感じ、特に出廷して自己の運命を討議する白人の声をその履物の下で聞いた者は、数日に及ぶ煉獄処刑の間も法悦の表情を浮かべる者が多いといいます

法律の知識がなくても白人が有色人の裁判を行えるのは、有色人に適用される刑事法が以下に抜粋するように非常にシンプルなものだからです。


大逆の罪

不服従罪

白人の命令に従わなかった有色人は、死刑に処する。


命令されたことを完全に遂行できなかったり完了が遅かった場合も不服従が成立します。命令がどのような方法を用いても遂行不可能な場合は不服従罪が成立しないのではないかという説もありますが、判例で認められたことはありません。そもそも白人が下した命令は有色人から見たら大変な恩義なのだから、それに対して有色人が遂行可能性を逡巡した時点で不服従罪、不敬罪が成立するという説もあります。命令の伝達方法も問いません。命令を知らなかった場合でも不服従罪になります。貼り紙で下された命令を知らずに従わなかった有色人が不服従罪となったケースは、その有色人に命令を伝えなかった者にも全員連座しました。命令の効力に時効はありません。命令者が死亡した場合でも効力は失われません。

不敬罪

白人を侮辱したり敬うことを怠った有色人は、死刑に処する。


不敬罪は主観的にも客観的にも成立します。白人が「礼儀を欠いた」と証言した場合は、必ず不敬罪が成立します。有色人が礼儀を尽くした「つもり」であっても、白人の気分を害した時点で、不敬の大逆を犯したことに変わりはありません。一方、白人が気にしなかったとしても、客観的に白人に対する礼を失した場合は不敬罪が成立します。たとえば白人の肖像、所有物、使用済みの廃棄物に対しても不敬罪は成立します。

連座

大逆の罪は、連座する。


親族、関係者、同地区に居住する者など、どのような範囲で連座するかはすべて検察官、裁判官の自由裁量に委ねられています。

未遂罪

大逆の罪の未遂罪は罰する。


何をもって未遂とするかはすべて検察官、裁判官の自由裁量に委ねられています。たとえば1000畳の石畳を磨く命令を受けていて1つ磨き忘れかけたが時間内に気づいて磨きなおした場合に不服従罪の未遂罪が成立したケースがあります。

再審

有罪になった事件は確定し、刑は即執行される。無罪になった事件の再審は何度でも行われる。


学級裁判では弁護士になった生徒の活躍で無罪になる場合がありますが、その場合役職を変えてすぐに再審が行われます。

諸原則

疑わしきは罰する。
白人の証言は常に完全な証拠能力を有する。
有色人の自白は常に完全な証拠能力を有する。
有色人の黙秘は自白とみなした上で罪を加重する。
有色人の自己弁護は一切の証拠能力を認めず、罪を加重する。


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