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マゾヒズム文学の世界

谷崎潤一郎・沼正三を中心にマゾヒズム文学の世界を紹介します。

コメントに回答③

探索者さんのコメントに対する回答です。
開店休業状態の当ブログのいつもたくさんのコメントをくださり本当にありがとうございます。
私の文章をよく理解してくださった上で新たな考察を加えてくださるのでとてもためになり、こちらも考察が深まりますます。


白乃様のマゾヒズムの3大要素という整理は、オリジナルでしょうか。とても優れた整理だと思っています。


スクビズム、トリオリズム、アルビニズムはいずれも沼正三の「ある夢想家の手帖から」に紹介されている概念です。
3大要素としてまとめられているわけではありませんが、いずれも同書および小説「家畜人ヤプー」の主題となっています。

ただ、マゾヒズム側の人間が、対象としてサディズムな性癖の異性を選択するか、また、サディズム側の人間が、対象として、マゾヒズムな性癖の異性を選択するか、必ずしもそうはならないと思います。
すると、
  ①M男性→S女性、
  ②M男性→M女性、 
  ③M男性→SでもMでもない女性
  ④S男性→S女性
  ⑤S男性→M女性
  ⑥S男性→SでもMでもない女性
そして、
  ⑦M女性→S男性
  ⑧M女性→M男性
  ⑨M女性→SでもMでもない男性
  ⑩S女性→S男性
  ⑪S女性→M男性
  ⑫S女性→SでもMでもない男性
となってきます。
聞くところによると、
  ⑬M男性→「Sなカップル(S女性+男性)」
  ⑭M男性→「M女性→S男性」
  ⑮M男性→「ふつうのカップル(女性+男性)」
などなど、
複雑な、重層的な、形もあるようですが、混乱するので省きます。ちなみに、「トリオリズムは、⑬の中のひとつのパターンのようにも思えます)。

ここでの関心の対象は、
  ①M男性→S女性、
  ②M男性→M女性、 
  ③M男性→SでもMでもない女性
という性欲(マゾヒズムな性欲)に限定されると思います。


この部分は私が既存のマゾ系コンテンツに対して最も疑問に思っていることの一つでした。
よくぞご指摘くださいました。
私は対象の異性が、男性を凌辱することに「性的な」充足を覚えるサディスティン(S女性)であることを全く求めません。
むしろ崇拝する女性にそのような要素がない方がうれしいです。
一番望ましいのは自分に対する無関心です。
自分をそのものとしては全く無価値な存在と捉え、手段としてのみ有用な存在として利用してほしいのです。
サディズムや憎悪の対象になるということは自分に価値を認めてくれているということになりますから、それは興ざめの要因になります。
ですから私の理想は

③M男性→SでもMでもない女性

ということになります。
トリオリズムの場合

⑮M男性→「ふつうのカップル(女性+男性)」

が好みです。
しかし、既存のマゾ系コンテンツはほとんどが

①M男性→S女性

の構図で作られていますよね。
それが私は不満でしかたないです。
こも構図って、要するに、互いに愛を確認したり快楽を得る目的で合意(契約)に基づいて行われる性行為(和姦)の一つの形態でしかないんですよ。
実践派にはプレイとかセッションとか呼ばれているものですね。
私の考えるマゾヒズムに、「双方向の愛」というのは考えられない。
マゾヒズムは徹頭徹尾「一方向の愛」でなければならないと思っています。

そうは言っても現実にはサディスティンではない女性から凌辱を受けるシチュエーションというのは難しいから、③の構図で描かれているというのも多いかもしれません。
でも妄想の中であればサディスティンではない女性からでも凌辱を受けるというのはいくらでも考えられます。
たとえば人種差別は人が経験しうるもっとも激しい人格的凌辱ですが、歴史的に世界中で行われてきました。
最近は「Financial Domination」が話題になっていますね。
これも相手はサディスティンである必要はありません。
お金がほしいから利用するだけ。
貨幣という手段としてのみ自分の有用性を認め、自分そのものの価値を認めないことの証として「プレイ」などの対価を与えない、この徹底した手段化の形態が、マゾヒストを引きつけているのだと思います。

また、マゾヒズムといっても、
相手の女性が
  (A)至上の女性、神聖な女性であるか、
    自分とは隔絶した存在なのか、
  (B)上位の女性であるのか
     (但し、ヘラのような意味で上位)
     (但し、アテナイのような意味で上位)
     (但し、ビーナスのような意味で上位)
     (但し、アルテミスのような意味で上位)、
  (C)ほぼ同列であった女性であるか、
  (D)ほぼ同列である筈の女性であるのか、
  (E)やや下位の女性であるのか、
そして、
  (あ)面識のある女性なのか、
  (い)行きずりの女性なのか、
それから、
  (1)一時的に仕えるのか、
  (2)永続的に仕えるのか、
により、M男性の持つマゾヒズム嗜好との組み合わせ
で、どのような性的悦楽がもたらされるのか変わってくると思います


それぞれに味わいがありますね、私はいろいろ好きですが、やっぱり一番好きなのはAですねー

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