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マゾヒズム文学の世界

谷崎潤一郎・沼正三を中心にマゾヒズム文学の世界を紹介します。

カップルに殺される妄想

カップルに殺される妄想をよくする。
美人に単独で殺されたいというのはあまりないのに、カップルになると殺されたいという願望が強烈に強くなる。
映画で、街中で、SNSで、美しいカップルを見るといろいろ妄想するが、無惨に殺される妄想にいきつくことが多い。

殺すといってもいろいろある。

まず動機。
私を殺してこのカップルに何かメリットがあるかと考えても、なかなか思いつかないことが多い。
それで結局「余興」という動機にいきつく。
カップルのひとときの余興のために、なるべく残忍に殺されるという妄想が好きだ。
いや、殺人が、異常なサディストでもない普通の幸福なカップルの余興になるか?
しかもこんな醜い男を殺すのが。
どうだろうか?
学校にはいじめがある。
被害者の精神、肉体、尊厳を破壊するのをためらわないことが多い。
死なせてしまうことは滅多にないけど、仮に死なせても死なせた側がいっさい追求されない、怒られない、不利益がまったくなく、今まで通りに過ごせるという保証があったら、ブレーキがかからず、ためらわずに死なせてしまうことも結構多いんじゃないか。
いじめている側にいじめる必要性はない。
いじめないと何か困るかというと何もないだろう。
あれは余興だ。
いじめは余興。
そしていじめは条件がそろえば殺人になりうる。
つまり殺人は余興になりうると思う。
大人だって同じだろう。
それに、学校ではいじめている人間といじめられている人間では前者の方が確実にモテる。
女は別の男をいじめる強い男が好きなのだ。
野生動物は確実にそうだが、人間でも同じではないか。
であれば、女は自分の愛する男が他の男いじめているのを見るのが好きだろう。
他の男をいじめることのできる強く男らしい男に自分が愛されることに喜びや誇りを感じるだろう。
それから、他者への攻撃は、攻撃している集団内部の結束を強める。
たとえばケンカをしていたカップルも、彼女を狙う痴 漢が現れて彼氏がそれを撃退したら、たちまち仲直りするだろう。
協力して他者を攻撃することは、カップルの絆を深める。
だから、カップルにとって殺人は条件次第で余興になりうる。
第一の条件は、殺したことによって自分たちに不利益が一切ないという保証があること。
第二は殺したことによって罪悪感がいっさい生まれないことだ。
第一条件のクリアは残念ながら今の世界では難しい。
逆に言えば、世の中が変われば、クリアされる可能性がある。
第二の条件は、相手の生命に価値があるという認識がなくなければクリアされる。
美しい人間の場合、醜い人間に対して「同じ人間」という感覚が薄まり、生命の価値も感じにくいだろう。
だから醜い人間は第二条件をクリアするハードルが下がり、美男美女の余興殺人の対象になるには結構有利だと思う。
もし殺す相手が、自分たちに殺されることを望んでいる、ということがわかっていたら、第二条件は相当クリアしやすくなる。
むしろチャリティー、ボランティアの感覚まで加わるかもしれない。
このあたりが世の中まで浸透すれば、第一条件がクリアになる世の中がくるかもしれない。
同意書を提出した者に対する傷害・殺人は一切罪に問わない。
そんな世の中も、考えられなくはないだろう。
1回のデートに5、6人の「処刑」を組み込む。
当日アプリで募集すれば志願者はすぐに殺到する。
志願者からの報酬でデート代は賄えてたっぷりお釣りがくる。
あまりにも日常化しているので罪悪感はまったく感じず、むしろチャリティー感覚。
次第にレジャー施設、スポーツ施設、飲食店も、処刑を娯楽化するカップル向けのサービスを競って充実させる。
もちろんこういった施設の料金は志願者から徴収するので、カップルはほとんど無銭でデートを楽しめることになる。

そんなわけで、私がカップルに余興として殺される妄想をするときは、私が彼らに殺されることを望んでいることを彼らがよくわかっている、という状況にすることが多い。
だからカップル側にためらいや罪悪感が一切ない。
むしろ醜く生まれた者に対する憐れみ、慈しみのチャリティズムを感じる。
だからこちらがカップルに対して抱く感謝・恩義の気持ちも絶大なものになる。

さて、いよいよ私がカップルに殺される妄想をするときの処刑方法を具体的に述べていきたい。

・狩猟型
ここで、カップルは仮にダイアンとアレックスにする。
場所は原野。
2人は別々に乗馬している。
大型の狩猟犬が5、6頭。
私は全裸で、騎馬の前に平伏している。
10分が与えられ、私は林に逃げ込む。
2人はしばらく原野で乗馬を楽しむ。
10分後にダイアンの合図で犬が私の追跡をはじめ、やがて犬に見つかる。
私に許されているのは逃げることだけで、犬に手向かうことは許されていない。
犬は数頭で私の手足を咥えて乱暴に引きずって2人のもとに運ぶ。
私はまた騎馬の前に両手と額をついて平伏する。
ダイアンがアレックスに何かをたずね、アレックスが答える。
「右耳」と言ったようだ。
ダイアンが犬に指示を与え、一番手柄のあった犬が私の右耳を食いちぎる。
また10分が与えられ、私は林に逃げ込む。
この繰り返し。
3度目に2人の前に引きずり出されたときにはアレックスのリクエストで私の左の膝から下の肉が全部犬に食われてしまったので、そのあとは這って逃げることになった。
必死に林に向かって這っていく私の姿がさすがに滑稽だったのか、背中に2人の失笑の声が聞こえた。
カップルにいたぶられている最中に、カップルに失笑されることほどうれしいことはない。
自分にとって生涯最良の時間を与えてくれているカップルも、それなりに楽しいひとときをすごしてもらえてるんだな、というのを実感できる瞬間だ。
次は両目を食われて視力を失い、もう闇雲に這い回るしかなかった。
これもよほど滑稽だったようで、2人の楽しそうな笑い声が聞こえた。
アレックスの提案で5分が追加される。
視力を失ってもなお、最期までその美しさ、高貴さ、慈悲深さを感じさせてくれる2人に感謝しながらなんとか手探りで林に逃げ込んだ。
しかし犬は追ってこない。
余興はおしまい。
2人は本式の狐狩りに出かける時間なのだ。
2人の騎馬と犬たちが遠出をしていく足音を聞きながら私は絶命する。

ここからは、カップルは中学 生の美月と高校生の崇とする。
そして私は2人を慕う小学 生だ。
いわゆる「おねショタ」のカップル版。
相当に好きな設定だ。
場所は縁側。
2人は涼やかな浴衣姿で縁側に腰掛け、沓脱石に足を置いている。
2人の間にはお盆の上にスイカやらかき氷機やらラムネ瓶が並べてあって、たださえ美しい2人の姿を鮮やかに彩っている。
私は同じく浴衣姿だが、裸足で庭に正座し、沓脱石向かって両手と額をついて平伏している。
この設定から、いくつかの大好きな処刑方法が派生する。

・劇薬型
平伏する私にも、ラムネの瓶が渡される。
2人は専用の栓抜きで、私は小石を使って栓を抜く。
私は少しためらうが、二人がなんのためらいもなく瓶を傾けて中身を喉に流し込んだので、私もあわててそれに続いた。
2人の喉には、よく冷えたラムネが爽やかな刺激を残して通っていく。
美月の白い喉がゴクゴクとちいさくかわいく鳴り、カランカランと涼やかなビー玉の音が響く。
そのままコマーシャルになるような清涼なシーン。
本来2人だけで分かちあうべき美しい夏のひとこまに「同席」させてもらい、同時に瓶を傾ける。
これ以上の光栄があるだろうか。
ただし、私の喉に流れてくるのはラムネではなくて濃硫酸。
途方もない苦痛に襲われるが、2人の清涼なひとときを邪魔しては悪いので、笑顔でゴクゴクと喉を鳴らし、酸が内臓を壊死させるのを待ち、沓脱石の方に平伏したまま絶滅する。

・水責型
たらいに冷水をため、沓脱石の上に置いて2人に足を入れてもらい、2人の足をていねいに洗う。2人はしばしスイカやかき氷を楽しむ。
2人がスキンシップをはじめる。
小学 生が見ていいものではないので、見てしまわないように私はたらいの水に顔をつける。
それでも私の窃視癖を知っている2人は私の頭を踏んで水に沈める。
顔面がぴったりたらいの底につき、鼻がひしゃげる。
もちろん息はできない。
2人の足の圧力の強弱がリズミカルに頭蓋骨に伝わり、どんな音楽よりも心がときめく。
2人の神聖なキスの時間を分け与えられる。
これ以上の光栄はありえない。
水に浸かっていようといまいと、呼吸など許されるはずがない。
苦悶と陶酔の天国だった。
3分ほどで足が離れ、崇が私の側頭部を軽く蹴る。
平伏のときに顔をあげていい合図だ。
水から顔あげ、しかし2人の口づけの余韻をなるべく邪魔しないように静かに激しく呼吸した。
カランとビー玉の音がして2人の喉が鳴る。
すぐに美月がキスの続きをねだる。
崇は「うんうん」と言いながら美月の髪を撫でたりしている。
私に呼吸を整える時間を与えているのだ。
なんとやさしい人なのだろう。
私は意を決して再び顔を水に浸ける。
後頭部に静かに2人の足が乗る。
2人の足は私に無上の喜悦を与えるが、2人にとって足の下の感触はどうなのだろうか。
自らを深く慕う者に恵みを与える慈悲心の満足と優越感、他者の苦痛や生死を足でコントロールできる全能感。
しかしそれらも、2人が互いに与える極上の喜びから見たらく微量のスパイス程度にすぎない。
次第に2人は盛り上がり、意識から私の苦悶や生命に対する関心は薄れていき、30分ほどした頃、2人の長い口づけの間に2人の足の下で絶命する。

・ゲーム型
この場合私の衣装は白い装束とする。
その他の設定は上記と同じ。
私はやはり沓脱石の前に平伏しているが、御座を敷いている。
傍にカッター、スプーン、千枚通し、裁ち鋏、キッチン鋏、ペンチ、糸鋸、そして屑籠を用意している。
2人は飲んだり食べたりじゃれあったりしていたが、美月が無邪気な笑みを浮かべながら「じゃあー、左の乳首」と指定する。私は丁寧にお礼を述べたあと即座にキッチン鋏で左の乳首を切り落とす。
止血は許されている。
「右の耳たぶ」と崇。
しっかりと頭と額をつけてお礼を言ってからこれもキッチン鋏で。
止血をしながら切り落とした耳たぶを屑籠に捨てる。
「んー、じゃー下唇」「攻めるねー」
一瞬たりとも逡巡してはいけない。
2人が私のために考えて指定してくれているのだから、逡巡などあまりにも無礼で不敬だ。
しかしやはり出血は激しかった。
本来なら地面に平伏が当然で御座を敷くなど僭越にすぎるのだが、今日は血で庭が汚れるため御座を敷いている。
交互に切断箇所を指定してもらって、私が絶命した時に、直前に切断箇所を指定していた方が負け。
棒倒しと同じ要領だ。
崇が勝ったら次の試合の日に料理の苦手な美月が弁当を作って持って行かなければならない。
美月が勝ったら美月の大好きな体位で美月が3回絶頂するまでしてもらえるのだ。
崇はこの体位を美月のわがままを操縦するご褒美としてうまく使っている。
「今日あれしれあげるから」と言えば美月は必ずいうことをきく。
私は美月に勝たせたい。
それなのに美月は攻めてくる。
左目。
美月の美しさを仰ぎ見るためだけに存在した眼球が、美月の思いつきで体から取り外される。
あまりの光栄に震えながらお礼をいい、スプーンでぬるっと抉り出して屑籠に入れた。
崇の指定は左の小指。
子供の力ではなかなか骨が裁てない。
裁ち鋏で体重をかけて一生懸命に切り落とす。
崇が美月の髪を撫でる音。
これをされるとすぐにキスをねだるのは美月の習性だ。
柔らかく湿った音が微かに聞こえる。
なんとか切り落として小指を屑籠に入れ、すぐさま深く平伏する。
止血したいところだが、口づけの最中に命令行動以外で平伏しないのは絶対にありえない。
そのまま長いこと次の命令はなく、やがて微かに囁き合う声がして2人の気配が奥座敷へと消えた。
私はそのまま絶命する。
美月の勝ちだ。
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コメント

すばらしいです !!

これはシリーズにしてもいいと思いますね

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