「スクビズム」の五類型と「変身願望」の五類型
谷崎潤一郎のスクビズム(1)―『少年』論~スクビズムの楽園
では、沼正三『ある夢想家の手帖から』の第一三三章「スクビズム」で紹介されていた「スクビズム」の五類型をご紹介しました。
谷崎潤一郎のスクビズム(3)―『捨てられる迄』論~堕ちていく快楽、委ねる快楽
では、『手帖』の第二一章「召使い願望と侍童願望」で紹介されていた「変身願望」の五類型をご紹介しました。
ここで、改めてまとめておきたいと思います。
「スクビズム」とは、「対象女性を上位に、自らを下位に置こうと志向する願望」のことです。
沼正三は、この概念をもって、正当マゾヒズムの諸相(三者関係は除く)をすべて説明できるとまで言い切っています。
スクビズムの五類型は下記のとおりです。
第一類型 肉体的下位
対象女性の体を自らの体で下から支持するという願望。
第二類型 肉体的下部
足への執着。
第三類型 観念的下部A
女性器や肛門への奉仕。
第四類型 観念的下部B
分泌物、排泄物への執着。
第五類型 観念的下位
人間と人間との関係としての下位、あるいは文化的・知能的に劣った存在への志向。
「変身願望」は、「成熟した社会人たる男性」が、「地位」、「年齢」、「男性」、「人間性」、「生命」といった属性を捨て去り、今とは違った存在になることを望む願望です。
いずれも、崇拝する女性よりも劣位でありたいという「下への衝動」の発露と言えますので、スクビズムの五類型のうち、第五類型「観念的下位」をさらに分類したものといえそうです。
(イ)セルヴェリズム(奴隷願望)→地位の剥奪
(ロ)小児化倒錯→年齢の剥奪
(ハ)変装(女性化)倒錯→男性の剥奪
(ニ)畜化倒錯→人間性の剥奪
(ホ)物化倒錯→生命の剥奪
具体的な願望は、これらの各類型が組み合わさって発露することもあります。
例えば、「馬になって対象女性に乗られたい」という願望は、女体を下から支えるスクビズム第一類型と、畜化願望(変身願望の(ロ))が組み合わさったものです。
「犬になりたい」という願望は、畜化願望に加え、「舐める動物」として、スクビズム第二類型(足を舐める)、第三類型(股間部を舐める)、第四類型(排泄物を舐める)と強く結びついています。
物化倒錯(変身願望の(ホ))の場合、スクビズム第一類型と結びつけば女体を支持する椅子や縁台、第四類型と結びつけば女体から分泌・排泄されたものを受ける痰壺や便器となります。足置きや絨毯となれば第一類型と第二類型、サドルとなれば第一類型と第三類型と結びついているということになりましょう。
「人間ビデ願望」というものもあります。昨今ネット上では「寝室奴隷」とも表現されています。カップルが愛し合った後、上位男性の体液がたっぷりと注がれた女性器を舐めて清めるという、トリオリストにとって究極ともいうべき願望です。これはトリオリズムとスクビズム第三類型、第四類型が結びついたものです。
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